2025年度 第12回IRMAILサイエンスグラント
「クレアフォーム賞」・「IDDK賞」採択者発表


クレアフォーム賞


  • 採択者  山形大学 学術研究院
         准教授 加納寛子 先生

  • テーマ  「地域文化をSTEAM教育へ転換する:
                   3Dスキャナーを活用した文化財アーカイブと学習素材化」


≪研究について≫
情報教育およびサイバーサイコロジーを専門とし、デジタル社会における心理・行動分析、フェイクニュースやネットいじめといった情報社会の諸課題の解決、さらには
AI・IoT・ロボティクスと人との関係性に着目した研究に取り組んできました。現在はその延長線上に位置づけられる実践研究として、 地域文化をSTEAM教育に転換する
ことを目的に、3Dスキャナーを用いた文化財のデジタルアーカイブ化とその教育資源化を進めています。山形県の過疎地域に点在する歴史的文化財を対象に、非接触で
高精度な3Dスキャン技術を活用し、小中高生が視覚的・触覚的に地域文化に触れられる教材を開発しています。これは、情報技術による文化的価値の再発見・再構築と、
次世代への継承の橋渡しを目指す取り組みです。
今後は、取得した3Dスキャンデータを用いて、文化財体験のAR/VR・メタバース空間への展開を進め、非接触・非対面での文化体験学習のあり方を探究します。同時に、
これらの教育環境において文化財のデジタルアーカイブに対する感想を収集・分析し、デジタル学習環境における心理的エンゲージメントや学習意欲の構造を明らかに
することを目指します。また、AIカウンセリング技術と連携し、文化体験を介した自己理解やメンタルヘルス支援の可能性にも着目していきます。これにより、
「文化とテクノロジーの融合が人の心と行動に与える影響」を多角的に捉える研究へと発展させていきます。
本研究は、以下のような応用展望を持っています。教育現場への応用:STEAM教育や探究学習の教材として、地域文化を題材にした3DデータやAR/VR体験を提供し、
地理的制約を超えた学びの機会を創出します。文化継承・観光への展開:自治体・博物館・観光機関と連携し、文化財の公開・活用の新たな手段として3Dアーカイブや
仮想展示を導入することで、地域振興にも寄与します。心理的支援との融合:AIカウンセラーやVR環境との統合により、文化資源を介した情緒的つながりやレジリエンス
の促進など、教育・福祉分野への波及効果も期待されます。

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IDDK賞


  • 採択者  中央大学 理工学部 精密機械工学科
         教授 鈴木宏明 先生

  • テーマ  「宇宙生活のQOL向上に向けたマイクロ宇宙発酵食の基礎開発」

≪研究について≫
これまで私は、細胞の操作や解析、構造・機能の再構成に関するマイクロ流体工学の研究に取り組んできました。特に最近は、空気中に開放されたオープン型マイクロ
流体チップを用いた細胞の配列技術や、液滴技術を応用した人工細胞の構築に注力しています。前者は細胞を配列した後に容易に採取できるため、細胞スクリーニングへの応用が期待されます。後者では、細胞膜を構成する脂質を含むオイルシェルを用いて、機能的な人工細胞を効率的に生成する技術を開発しました。こうしたマイクロ
流体チップは小型で精密な操作が可能なため、宇宙でのバイオ実験にも非常に有用ですが、日本ではこの分野の研究はまだ発展途上です。本研究では、長期的な目標
として「宇宙での食糧生産」を掲げ、マイクロ流体技術を活用した制御可能な発酵技術の確立を目指します。
人類の宇宙長期滞在に向け、限られたエネルギーと資源で豊かな食体験を実現するには、新しいフードテクノロジーの開発が不可欠です。中でも微生物発酵は、保存性や
栄養、風味を加えることができ、加熱を必要としない持続可能な調理法として、宇宙での活用が期待されます。重要なのは、発酵環境を精密に理解し、制御できる技術
です。そこで本研究では、発酵微生物や栄養素、調味成分を水系カプセルに封入し、発酵プロセスを可視化・制御するマイクロ発酵カプセルを作製します。マイクロ流体
デバイスによってカプセルの大きさや構成要素を精密に制御できる点が大きな利点で、これまでにない食品加工や発酵制御が可能になります。さらに、模擬微小重力環境
での検証も行い、将来の宇宙での食料生産技術の実現に貢献したいと考えています。
この分野はまだ未知の領域ですが、IDDK社などの協力を得ながら、日本の宇宙開発に貢献していきたいと思います。

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