エッペンドルフ賞 受賞者インタビュー

日本大学 薬学部 薬学科 応用薬学系 分子標的治療学研究室
教授 片山和浩 先生

受賞者プロフィール

学歴:
2001年3月
2005年3月

職歴:
2003年4月
2005年4月
2007年4月
2008年4月
2008年9月
2011年4月
2019年4月
2022年4月

現在に至る


北里大学大学院医療系研究科腫瘍病理学専攻 修士課程修了
東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻 医学博士課程修了


日本学術振興会特別研究員(DC2)
共立薬科大学 助手
共立薬科大学 助教
慶應義塾大学薬学部 助教(法人合併による)
米国National Institutes of Health, National Cancer Institute 客員研究員(2009年8月まで)
慶應義塾大学薬学部 専任講師
日本大学薬学部 准教授
日本大学薬学部 教授



【研究について】
抗がん薬、がん分子標的治療薬、あるいは抗菌薬といった治療薬は、病気に対抗するために人類が手に入れた重要なツールです。これらの治療薬により救われる患者
さんがいる一方で、治療抵抗性や再発により有効な治療法が絶たれてしまう、薬剤耐性が臨床的に重要な課題とされています。薬剤耐性の分子機構を解明し、新たな
対抗手段を手に入れる足がかりを得ることを目指し、がんや感染症を中心に薬剤耐性機構の解析を進めています。
がん分子標的治療薬、とりわけキナーゼ阻害薬による治療では、再発や耐性との戦いと言わざるを得ません。事実、種々のがん治療ガイドラインには、再発と耐性が
生じた場合には二次治療・三次治療へと移行する、逐次治療を実施するようフローが明記されています。
急性骨髄性白血病治療薬として、近年、3 種類のFms-like tyrosine kinase 3 (FLT3) 阻害薬が上市されました。これらの単剤治療後には約半数の患者さんで再発が認め
られ、FLT3 に耐性変異が生じることが明らかになっています。しかし、変異箇所は薬剤ごとに異なるため、上手に使うことによりFLT3 阻害薬による逐次治療が可能
であると考えられます。本研究では、さらに先の逐次治療後を見越して、複数のFLT3 阻害薬により生じる可能性のある重複耐性変異を実験的に予見し、耐性の分子
機構を解明することを目的とします。
本グラント終了後には、予見したFLT3 重複耐性を克服できる阻害薬/化合物をスクリーニングします。本研究の最終目標は急性骨髄性白血病の完治であり、それに
向けて再発や耐性を制圧できる治療薬の開発を目指しています。

【IRMAILについて】
数々の研究にまつわる情報を発信しているだけでなく、産学(メーカーと研究者)を結びつけて研究を助成していることに、IRMAILには期待しておりました。今回
はご縁があって、エッペンドルフ社と研究を進める機会を得て、深く感謝しています。より良い研究に、より良い製品開発に、両者(産学)がwin-win な関係に発
展していくことを期待しつつ展開していきたいと考えています。今後もIRMAILには、積極的な情報発信と産学の連携促進にご尽力されることを期待しています。

先生のより詳しい研究内容はこちらから
日本大学 薬学部 薬学科 応用薬学系 分子標的治療学研究室