Markforged賞 受賞者インタビュー

茨城大学 大学院理工学研究科 工学野 機械システム工学分野
准教授 小貫哲平 先生

受賞者プロフィール

学歴:
1998年3月
1998年4月
2000年3月
2000年4月
2003年3月

職歴:
2003年4月
2005年1月
2007年10月
2010年4月
2018年4月

現在に至る


東京理科大学基礎工学部材料工学科 卒業
東京理科大学大学院修士課程基礎工学研究料材料工学専攻 入学
東京理科大学大学院修士課程基礎工学研究料材料工学専攻 修了
東京理科大学大学院博士課程基礎工学研究料材料工学専攻 入学
東京理科大学大学院博士課程基礎工学研究料材料工学専攻 修了


産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門 特別研究員
東北大学医工学研究機構高度情報通信分野 助手
東北大学大学院機械知能系ナノメカニクス専攻 助教
茨城大学工学部知能システム工学科 准教授
茨城大学大学院理工学研究科工学野機械システム工学専攻 准教授(改組のため)



【研究について】
私は、茨城大学の機械システム工学科で生産加工学学を対象とした研究教育活動を進めています。半導体基板やサファイア基板などの硬くて脆いため加工が難しい材料の精密加工技術(レーザ加工など)と、それらの寸法精度や加工面の品質についての評価技術(分光技術を用いています)、あるいは紙のような柔軟で形状が保持しにくい工作物の切断加工技術、などに取り組んでいます。最近は、工場IoTとしての生産現場の音や温度のデータの取得法や分析法についての研究にも取り組んでいます。人工知能技術のような情報工学やロボット工学の分野の技術革新の波及がモノづくり現場にも及んでいます。それらの技術も含めた異分野融合領域の研究課題として、モノづくりの立場から現代社会の直面している課題に対応するための技術提案を発信していきたいと考えています。特に3Dプリンティング技術は、低環境負荷や災害など不測の事態への対応性など現代の要求に見合うために必要不可欠な新しいデジタル製造技術とみなされています。今回の受賞でMarkforged様の最新の技術・設備の導入を検討できる機会を頂けることに感謝しています。感染症大流行など人の移動が制限される情勢や高齢化社会では、ロボットやドローンが人と共生して活動する場面が思い浮かびます。宅配便などでの配送用ロボット、スーパーマーケットなどでの買い物カートロボット、電車や飛行機などでの車内販売サービスに従事する販売ロボットなど、日常生活における市内および屋内での重い荷物運びの支援的な活動をしてくれるロボットには大きな潜在的需要が目論まれています。人と動線を共有して活動できるロボットの開発を目的として、軽量・高強度な部品などを製造するための技術開発とその応用研究を行います。
大学においても、昨今のコロナ禍で教育や研究で大きな活動制限を受けて、その間にいろいろ考えさせられる機会がありました。その情勢下で、本学のロボット工学の研究に携わる若手の先生たちと一緒に近隣企業と研究交流を進めていくことになりました。人とロボットの共生についても、その中で見出された課題でした。ロボットが人の活動に合わせるためには人と同じくらいの大きさや重量感が求められます。現況の産業用ロボットや配送用ロボットより小ぶりな荷物運びロボットを実現させるための骨格・外殻の開発研究に取り組んでいきます。Markforged様の3Dプリンターを始めとした最近のフィラメント積層式プリンターには、エンジニアリングプラスチック、複合材料、金属材料、ゴム材料など様々な種類の材質を取り扱えるものもあります。3Dプリンティング技術を用いて軽量高強度な材料で構成された架台構造の開発、衝突衝撃を軽減させるための柔軟な材料による緩衝構造の開発、について研究していきます。実際のロボット部品の製造法として、応用展開していく構想です。

【IRMAILについて】
この度は、サイエンスグラントご採択ありがとうございます。ここ数年は、セールスマンの営業活動も制限され、技術展示会も中断され、大学教員のような立場の者が企業の先進技術について知る機会が失われてしまっています。IRMAILのような媒体から得られる情報、は我々の研究活動にとても役立っています。また、サイエンスグラントのような試みも公的組織や他の財団の研究助成に比べて申込までの負担が軽く、研究者にも夢を与えてくれています。これからもご活躍を頂きたいと思います。

先生のより詳しい研究内容はこちらから
茨城大学 大学院理工学研究科 工学野 機械システム工学分野 ナノエンジニアリング研究室